露天風呂

あまりのショックで人生がいやになり、(今日一日一体何をやっていたのだ、それより、毎日私は何をやっているのだ、一生懸命働いても働いても、お金は袋にあいた穴から出て行くようだ、馬鹿らしくてやってられないよ)といやーな気分になってきた。
でも、頭から汗や泥だらけだし、温泉でも入って帰ろう、と、登山口にある温泉に入ってきた。
玄関でお金を払うとおばちゃんが、「よかったら露天風呂もありますよ」とやけにニコニコして言うので、「どこから行くのですか?」と聞くと、すぐそこで、戸をあけたらスリッパがあるので、くつは持っていかなくてよい、というから行ってみた。
なんか戸の向こうから声がするので、声をかけてみた。
「どなたか入っておられますか?」
「はい」(男の人の声)
「中で仕切ってありますよね?」
「いや、完全に混浴です」
「…」
ちょっとためらってしまい、内湯に入った。
でも、そこで2人おばちゃんが入っていて、「露天風呂入ったことありますか?混浴らしいですね」と聞いてみた。
すると「あるよ。入ってこられたら?」「えーでも、男の人が2人入ってて、ちょっと勇気が要りますよ」「私らそんなこと、ぜーんぜん、きにせんよ、あんたまだ若いからねー、あはははは!」と笑って済まされた。
でも、よーく考えてみたら、全く知らない人だし、全然平気か、私もおばちゃんの域に達して開放感を味わってこようかな、と勇気を出して行ってみた。
今度は女の人と男の人が2人で入っていた。
ちょっと安心。
いろいろ話しているうち、その2人は、あらゆる露天風呂を探して(関東の方だった)旅をしているようだった。
昨日はなんと、朝日町の小川温泉に行っていたそうだ。で、トロッコに乗って黒薙温泉にも行ったそうだ。これから山田温泉小谷温泉山田旅館に行くのだけど、その前に村営雨飾荘に行く時間があれば行きたい、と言っていた。地元の私も行ったことないところを遠方からよく調べていらっしゃるなあ、とこっちが教えられた気がした。(近くにあるといつでも行けるという安心感と、心の余裕のなさから、温泉は山の帰りくらいしか行ったことがないのだ。)
なんかスッキリした気分になって帰ってきた。今日はダメだったが、明日また早起きして子供が起きるまでに山に行ってくればよし!